経営事項審査(経審)は、建設業者として公共工事の発注を受けるための重要な手続きの一つです。経審の内容や必要性、手続きの流れをご紹介します。
1. 経営事項審査(経審)とは?
経審は、公共性のある施設や工作物に関する建設工事(公共工事)を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受ける審査です。
これにより、公共工事を行う建設業者の経営基盤や技術力が適切かどうかを客観的に評価します。 この審査によって、公共工事を行う建設業者の信頼性や能力を確認することができるため、公共工事の品質を確保するための大切な手続きとなっています。
2. 経審の目的
公共工事は税金を利用して行われるものであり、その品質や信頼性が求められます。
そのため、発注者は建設業者の経営状態や技術的能力を確認し、適切な業者に公共工事を任せる必要があります。
この資格審査は客観的な評価として利用され、経営状況や経営規模、技術的能力などを数値で評価します。
 公共工事の発注機関は、競争入札参加のための手続きの際に「総合評定値の通知(経審の結果通知)」を受けていることを求めております。
3. 経審の具体的内容
経審は大きく「経営状況分析」と「経営規模等評価」の2つの部分で構成されています。
[経営状況分析]
建設業者の経営健全性を評価。この部分は、国土交通大臣が登録した専門の機関が担当します。
[経営規模等評価]
 建設業者の経営規模や技術力などを数値で評価。国や都道府県によって行われます。 
これらの評価結果から「総合評定値」というスコアが算出され、多くの発注者がこの値を元に入札の資格を審査します。
4. 経審の特徴
全国統一の点数制度であり、地域や業種、許可の違いに関係なく評点算出式は一定。
 建設業者は毎年経営事項審査を受ける必要があり、審査を受けないと公共工事の発注を受ける資格が得られません。
5. 経審の結果通知と公表
審査の結果は、特に問題がなければ、申請日から1か月程度で「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が郵送されます。(知事許可の場合) 経営事項審査結果は、公共工事入札参加希望者選定の透明性を高め、公正さを確保するため、また企業情報の公開や相互の監視を通じて虚偽申請を抑止するために公開されています。
6.手続きの流れ(決算~入札参加まで)

以下が申請の主要な手順です
① [決算後の手続き]
   決算後4カ月以内に「決算変更届」の提出が必要です。
② [経営状況の分析]
   国土交通省の登録分析機関に「経営状況分析申請書」を提出します。
③ 結果通知書を受け取ります。
④ [経営事項審査の申請]
   審査日程を確認した上で、申請を行います。自治体によって申請方法は異なるので、地域の規定をチェックします。
⑤ [結果の受け取り]
   約1ヵ月後に経営事項審査の結果通知書が発行されます。
⑥ [入札参加資格申請]
  経営事項審査が完了したら、次は公共工事の入札に参加するための資格を申請します。各自治体や官庁の募集タイミングや方法に注意しながら、手続きを進めます。
7.消費税確定申告と経営事項審査申請の関連
経営事項審査申請の際の注意点として、消費税確定申告書の確認が非常に重要です。この申告書は経審の確認書類の中でも基本的なものとして位置づけられています。
その主要な理由は、課税標準額と完成工事高との関係性にあります。これらの値は通常、一致するはずです。
しかし、一致しないケースが存在します。例えば、完成工事高が課税標準額よりも低い場合、兼業の売上や雑収入の影響が考えられます。
一方、完成工事高が課税標準額を超える場合、非課税収入の誤算や消費税確定申告書の誤り、あるいは税込みの処理ミスなどが疑われます。
特に後者のケースでは、不正な粉飾決算の疑いを招きかねません。そこで、そのような疑念を避けるため、事前に理由を明確にメモや資料にしておくことがよいでしょう。
 万が一、完成工事高に誤りがあると、経営状況の分析結果や工事経歴書の整合性に問題が生じ、申請手続き全体のスケジュールに大きな遅れが出る可能性があります。
従って、経審申請前には消費税確定申告書のチェックは必須となります。課税標準額と完成工事高の整合性を確認し、もし不一致があれば、その原因を明確にすることが求められます。
[まとめ]
経営事項審査は、建設業者として公共工事の発注を受ける上で欠かせない手続きです。しっかりと理解し、適切な手続きを行うことで、公共工事の発注をスムーズに受けることが可能となります。
 この記事は、建設業者の手続きを専門とする行政書士事務所が提供しています。経営事項審査に関する詳しい質問や相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
 
     
    
    
    
    
    
    
      
      
      
      
      
      
    
   